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現代思想2024年11月号 私の留学記「留学が導いた私の人生」
私は、スウェーデンのウプサラ市という都市で生まれ育ちました。スウェーデンでは第4の都市ですから都会ですが、東京や大阪と比べれば田舎のようなものでしょうか。スウェーデンのことを日本人に紹介する時、良くスイスと間違えられます。国名が「ス」で始まるからだけのことですが、位置も文化も結構違います。
スウェーデンのイメージは何かと申しますと、とにかく寒い国ということです。もちろん、冬は寒いですが一年中寒い訳ではないです。春夏秋冬、四季がちゃんとあり、夏は大変過ごしやすいです。20~25度ぐらいで湿気はなく、日本の夏とは異なり、冷房がなくても生きていけます。逆に冬は暖房がないと無理です。スウェーデンに住んでいた時は、スウェーデンという国のこと、社会のことを当たり前のように思っていて、特に関心がなかったのですが、いざ国を出ると色々と恋しくなります。世界に出ていくというのはそういうことでしょうね。
スウェーデンの学校は、小学校、中学校が一つにまとまっていて、その後は高校に進みます。しかし、スウェーデンでは、高校の時点で今後の進路を決めないといけません。高校にも専攻があり、今後、理系を勉強したいなら理系を専攻する、文学を目指すなら文学の専攻など、後でやり直せることもありますが軽く進路を、将来を決めないといけません。私はやりたい仕事が特に思い浮かばなかったため、子供の時から好きだった演劇を専攻しました。演劇を専攻したからといって、その専攻で卒業する者が皆役者になる訳ではないです。文学、数学など、普通の授業も取っているので、そのまま関係のない分野の学習や仕事に就くのも全く問題ないです。
高校を卒業し、国立ストックホルム大学に進学しました。スウェーデンの大学は、日本の大学よりも自由で、キッチリと決められた専攻科目の授業もあれば、専攻と関係のないコースを自由に受けることもできます。卒業には、卒業論文が必須で、書くのはなかなか大変です。私は高校時代に演劇を楽しくやってきて「これを仕事に出来るのか」とちょっと不安があったため、とりあえず大学で勉強してから決めようと思い大学に進学しました。そして、スウェーデンでは、より多くの言語を習得することは、とにかくプラスでしかないという考え方があり「じゃ、日本語を勉強しようかな」と考えました。「どうして日本語を?どうして日本へ?」と質問されることが多いですが、日本と私は、これといった関係性があった訳でもないです。子供の時テレビで日本のアニメを見たり、日本製のテレビゲームをやったりしましたので、スウェーデンから遠くて、面白そうな国だなという、軽い気持ちで勉強に励みました。ただ、祖父がスウェーデン大使でアジアに赴任していたため、アジアには親しみがありました。
そして、ストックホルム大学で日本語を勉強していると2回ほど留学に行く機会をいただきました。1回目は名古屋の南山大学で3ヶ月半という短期留学でした。3ヶ月半はあっという間に終わりましたが、同時に、大変に沢山の経験をさせていただきました。9月から12月までという留学でしたが、飛行機から降りて一番最初の印象はやはり暑いという一言でした。スウェーデンは9月はもう秋になっているのに何故にこんなに暑いのかと思いました。そして、留学の日々が始まります。
(現代思想2024年11月号 私の留学記「留学が導いた私の人生」から一部抜粋)

